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崩れていくももをずっとずっとみていた

 

浅い色をしていたけれど

一体どこにいってしまったのだろう

 

君は口を大きく開けて、私に手を差し出す

 

 

わたしはフォークの先で少しだけそれをくずしてやると

 

落とさないようにしっかりとさした

 

 

ももはてのひらにはもうなくて

 

もうきっとそらのしたに行ってしまったのだ

 

 

優しい君は包丁を握れない

 

やさしいきみは料理もしない

 

 

やわらかくつつまれたとても深刻な様々な生を

 

見ないふりをして飲み込んでいく

 

 

わたしたちはふたりして

 

シャンパン色の海に向かっていく

 

 

広く大きな窓からは

 

とてもやわらかい海が見えた

 

薄桃色と、薄荷色の透明な透き通ったわたしたち

 

 

乳白色の陶器の艶は私達を離してはくれない

 

 

きっとわたしたちが艶をまとってしまうまで

 

 

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