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ゆっくりと体を這う手に、わたしはどれほど期待していたんだろう。

 

何も知らないふりをしている。

 

いわゆるワンナイト、なんて、嫌だってずっと思っていたけれど、

3年前、彼と会ってしまった瞬間から、何かが壊れ始めていたのを私は知っている。

 

 

先月、10月に、京都へ行った。

展示を見に行く、という名目で、本当の目的は彼に会ってみたい、ということだった。

今のこのキャンペーンを活かして、普段では泊まれないちょっといいホテルを予約して。

でも一人部屋はないので、彼を誘った。

もちろん、メッセージを送るときは、わたしは襲いません!とちゃんと伝えて。

あくまで、このホテルに泊まってみたいんです、ということなんです、と伝えて。

 

わたしは期待する。

すきになってくれないかな、って。

わたしも彼を好きになれないかなって。

 

・・・・・結局、難しかったや。

そんなのわかってるのにね。

 

でも、一緒に体をゆらすこと、穏やかな海に投げ出されることは、

一年以上していなかいことで、何か起こらないかな、ととても期待していた。

 

彼からは誘われなくて、やっぱり結構かなしくて、ベッドに入って何時間もちょこちょこ話して、

夜2時とか3時とかに、やっとちょっとそういう感じになって、したけど、

よくわからなかった。

 

 

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